プルサーマル公開討論会議事録2
●第一部開始
【中村コーディネータ】
本日コーディネータを努めさせて頂きます中村浩美です。会場の都合でこちら側の皆さんには、なかなか発言してる時も顔が見えないと思いますので最初にご挨拶をしておきますが、よろしくお願い致します。
先ほど主催者の佐賀県の方からご挨拶がございましたように、今日はこのプルサーマルの安全性というところに焦点を絞りまして、公平に、そして、冷静な議論を展開して欲しいという佐賀県主催者からのご依頼がございまして、安全性の議論を深めることによって県民の皆さまにこのプルサーマルを考えていただこうということで、パネルディスカッションを開くというご依頼を受けまして、私コーディネータとして本日伺った次第です。
今日の進め方ですけれども、まず最初に原子力発電あるいはプルサーマルについてよくご存知の方もたくさんいらっしゃるかとは思うんですけれども、簡単に私の方からおさらいをさせていただきまして、プルサーマルとはどんなもんなのか、九州電力が計画しているプルサーマルのほんの概要でございますけれども、まず簡単にそれをご紹介させて頂きます。そしてその後、壇上にいらっしゃいます6人の講師、パネリストの皆さんにそれぞれの立場、ご見解の元に、このプルサーマルの安全性についてご意見を発表していただきます。それをお伺いした後で、パネルディスカッションに入ってまいりたいと思います。安全性と一口に申しましても技術的な所から政策的なところ、あるいは防災の見地からと、色々なご意見があろうかと思いますが、私の方で少しずつ整理をさせていただきながら、パネリストの皆さんと議論を深めてまいりたいというふうに思っております。そしてこのディスカッションの質疑、あるいは後半の方では会場の皆さんから挙手をしていただいてご質問をお受けするという時間を設けておりますが、そういう時に、これはどうしても国あるいは九州電力担当でなければお答えできないというようなケースもあろうかと思いますので、先ほどご紹介のあったオブザーバーの皆さんに私共の後ろに控えていただいております。その様な場合に限ってオブザーバーの皆さんにはご発言を頂くということで、今日のパネルディスカッションの中心は壇上の6名のパネリストの皆さんと、それから会場で質問あるいはご意見を発表していただく会場の皆さんが主役ということでございます。プルサーマルを考える色々なアプローチがあろうかと思いますけれども、今回は佐賀県、主催者の意向がございまして、その安全性に焦点を決めてお話を進めてまいりたいと思います。プルサーマルとは言いましても、一般的な原子力発電に対する安全性に言及されるケースもございますでしょうし、我国の原子力政策と安全性という見地からのご発言もあろうかと思いますけれども、今回のテーマはプルサーマルの安全性ということですので、あまり議論が拡散しないようにパネリストの皆さんにもお願いをしたいと思います。
それでは早速ですが、正面のスクリーンの方に映像が出てまいります〔資料1−1:PDF61KB〕。皆さん一緒におさらいをしていただきたいと思いますが、まずは火力発電と原子力発電の違いとありますけれども、何らかの燃料を使って蒸気を作って、それでタービンを回して電気を作るという意味では火力発電、原子力発電と共通している訳ですが、ただ、その燃料の部分、蒸気の作り方が違う訳ですね。火力発電の場合ですと、石油・石炭・天然ガスなど燃焼させて蒸気を作る訳ですが、原子力発電の場合、PWR、加圧水型の場合ということになりますと、ウラン燃料の核分裂によって高温の熱が発生すると、その暖められた水を送り、蒸気発生器の方へ送りまして、そこでまた別の水がやってきて、それが蒸気に変わると。この蒸気がタービンを回して発電をしていくと、こういう形です。
この原子力発電所、一般論なんですけれども5つの壁で守られている。安全対策が施されているというふうに言われております。ご覧のような所で〔資料1−2:PDF76KB〕。まず最初に燃料を焼き固めたもの、ペレットと申しますけれども、これを被覆管という金属の“さや”ですね、この中に入れて燃料棒というものを作るわけです。ここで、第一の壁、第二の壁ということになりますが、第三の壁、大事な所が原子炉容器ということですね。ここにウラン燃料を納めているわけですけれども、厚さがおよそ20センチの鋼鉄製の容器ということになります。さらに、そのまた外側に原子炉格納容器というのがありました。さらにまたその外側、この原子炉格納容器については鋼鉄製の部分とそれからコンクリートの壁の部分があるということで、5つの壁によって原子力発電所の安全対策は施されている、これももう皆さん既にご存知だと思います。
そして今日のプルサーマルのテーマになります九州電力の玄海3号機の原子炉なんですけれども、皆さんのお手元にもお配りしてありますからご覧いただきたいと思いますが、原子炉容器というのがありまして、その中に燃料棒を集めた物、燃料集合体と言いますけれども、玄海3号機の場合ですと、ここに193体も入っているわけですね〔資料1−3:PDF68KB〕。こういう形になって原子炉の中に燃料が納められていると。今日のテーマのプルサーマルということなんですけれども、これはMOX燃料というものを使うわけなんですが、通常の原子力発電所の場合ですとウラン燃料ですよね〔資料1−4:PDF88KB〕。このウラン燃料、いわゆる燃やす、核分裂が起きる。そう致しますと、使用済燃料という段階で実は全部が燃え切るわけではないんですね。核分裂とともに核分裂生成物というものが出てきますけれども、その中に燃えにくいウランもありますし、それからプルトニウムというのが新たに出てくる。燃えやすいウランも含まれている。この使用済燃料というものを、日本の場合はリサイクルということを考えてますから、これがまた新たな燃料資源になるという考え方になるわけです。そこで、使い終わったウラン燃料からこのプルトニウムを取り出して、そしてまたウラン等と混ぜてMOX燃料というものを作ると、Mixed Oxideと言って混合酸化物と言うんですけど、この頭文字をとってMOX燃料と言っているわけですね。この中には当然プルトニウムというのが入ってくる。ここが最初の原子力発電で使うウラン燃料と違う所になるわけですね。ここに大きな特徴がありますし、今日の議論の一つの焦点になろうかと思います。プルサーマルというのは造語なんですけれども、プルトニウムを使うということで、その“プル”ですね。サーマルというのは、サーマルリアクターっていうのが軽水炉、普通の原子力発電所の炉のことです。これを合わせて作られた言葉で、“プルサーマル”という言い方をしております。九州電力が計画しておりますこのプルサーマルなんですけれども、玄海の3号機ということですね〔資料1−5:PDF63KB〕。九州電力としては2010年度までに実施したいということなんですが、このMOX燃料というものなんですが、ここのところが安全性の点でおそらく今日もパネリストの皆さんから色々議論になるところだと思うんですが、ウラン235、これが核分裂を起こすものですけど、その濃度とか、プルトニウムの含有率、ここ大事な所ですね。燃料集合体平均、ペレット、焼き固めた燃料ですね、その最大の数字が出てきます。単位がまた出てきます。例えば燃料集合体平均で約 4.1wt%濃縮ウラン相当以下というようなことが書いてありますね。これはウエイトパーセントということで、重量での割合を示す単位なんですけれども、それから今度、ペレット最大の所でも13wt%(ウエイトパーセント)以下で、核分裂性プルトニウムの富化度8wt%以下、ウエイトパーセント、8ウエイトパーセント以下とありますけれど、この数字が何を意味するのかというのは分からない方も多いと思うんですが、これは、この後パネリストの皆さんのご発言の中でよく聞いていただければお分かりいただけると思います。今日の議論の中のかなり重要な部分を示すと思います。それからMOX燃料集合体の最高燃焼度。ここにも何かMWd/t(メガワットディーパートン)という単位が出てくるんですけども、これはメガワットディーパートンということで、燃料1トンがどの程度燃えたかっていうことを示すものなんですが、このあたりのことについてもおそらく議論になると思いますから、是非しっかりと皆さんお聞きになって下さい。そして、このMOX燃料の装荷量、どれぐらい納めるかということなんですけれども、玄海3号機には燃料集合体が193体あります。そのうちMOX燃料集合体を最大48体装荷するということで、全体の4分の1程度がこのMOX燃料というものになるという計画になっております。
そして、この九州電力のプルサーマル計画の安全性につきましては平成16年5月28日に九州電力が国に対して原子炉設置変更許可申請を行いまして、今年の9月7日に国の安全審査が終了し、許可が出ているということになっております。このプルサーマルをめぐりましては、国主催のシンポジウムも開かれましたので、このあたりは皆さんもご記憶かと思いますし、参加された方もいらっしゃると思います。という概要でございます。
これについて、今日は安全性にポイントを絞って議論を進めていきたいということになります。それでは早速ですけれども、パネリストの皆さんからプルサーマルの安全性に関するそれぞれのご意見をお伺いしていきたいと思いますが、まずは私のお隣の側からぐるっと回りたいと思います。出光さんどうぞ。
【九州大学大学院 出光教授】
それでは、出光と申します。九州大学におりまして、中身に入る前に少し自己紹介を簡単にさせていただきますと、今から25年ほど前に九州大学を出まして、原子力の方を専攻しておりまして、その後、動燃事業団、今は名前が変わってしまいまして、日本原子力研究開発機構になりました。そこに入りまして、一番最初にやった仕事が高速炉燃料、使用済燃料、今の軽水炉ではなくて高速炉と呼ばれる次世代の原子炉、この燃料の再処理の研究をやっておりました。その燃料の中にはプルトニウムが30%入っている、そういうものの再処理の実験をやっておりました。その後、廃棄物の処分関係の研究をやりまして、平成元年から大学に戻りまして核燃料と廃棄物の研究をやっております。
中身に入ってまいります〔資料2−1:PDF105KB〕。この表ですけども、いわゆる発電用軽水炉原子炉施設に用いられる混合酸化物燃料について、という題目で原子力安全委員会の専門部会の報告書が出ております。ちょっと名前が長いので3分の1MOX報告書と略させていただきますが、この中にプルトニウムを軽水炉で使用する、いわゆるプルサーマルについて検討された結果が書いてあります。その中のプルトニウムの含有率、あるいはプルトニウム富化度といったものについて検討されておりまして、この検討の中では先ほども中村さんの方から言われましたように、プルトニウムの含有率がペレットの中で最大で13%。それから、核分裂性プルトニウム富化度、これがペレットの中で約8%というふうになっております。これは、核分裂性プルトニウムというのは、プルトニウムの中に核分裂しやすいものとしにくいものがありまして、核分裂のしやすいプルトニウム、これの割合を示したものです。燃料全体に対して核分裂しやすいものの割合を示したものです。それから、炉心の装荷率といいまして、原子炉の中には、集合体がたくさん入っているわけですが、そのうちのどれだけをMOX燃料に変えていいかということで、一応検討は3分の1程度までというふうになっております。それから、燃焼度というのがありますが、これは、燃焼度、後で出力というのも出てまいりますが、燃焼度というのは車で例えれば走行距離と思って下さい。それから、出力というのはその時の車のスピードと。ですから、出力が高くて長く運転すればたくさん走るということで、ご理解いただければよろしいかと思います。その、最高燃焼度ですが、45,000MWd/tということに設定されております。これは、ウラン燃料を超えない範囲ということで設定をされております。これらの報告書に書いてありますこういった仕様を満足しましたら、従来の設計を大幅に変更することなしにMOX燃料を使用可能であるというふうに報告書で言っております。ここでちょっと注意しておきたいのは、これ以上になったら危なくて使えないと、そういう数字ではありません。報告書では一応設定としてこういう値までを検討しましょうということで検討してありますので、さらに高い含有率の燃料を将来使うことになった場合には再度検討して報告書が出されるというふうになると思います。これに対しまして九州電力の玄海3号炉では、プルトニウム含有率、それから核分裂性プルトニウム富化度については、報告書と同レベルまでのものを使う可能性がある。ただし、炉心の装荷率については集合体全体の4分の1程度で使うということを考えておられます。燃焼度については、報告書と同じ45,000MWd/tということで、考えられております。この報告書についてですが、一応設計を大幅に変更することなく使えるといっておりますが、一応留意点ということで、燃料関係について以下の4項目があげられております〔資料2−2:PDF93KB〕。まず、プルトニウムを混ぜますとペレットの融点及び熱伝導度が低下する。ペレットのクリープ速度が増加する。核分裂生成ガス放出率がウランペレットより若干高めである。ペレット内のプルトニウム含有率の不均一が製造時に生じる可能性がある。この4項目について留意をして欲しいというふうに書いております。このことについては後ほど説明いたしますが、このうち、ペレットのクリープ速度が増加するにつきましては、このクリープ速度というのは、分かりやすく言うと燃料の柔らかさ、変形のスピードが早いということを意味しておりまして、どちらかというと、燃料棒が壊れにくくなる方の性質でありますので、後の説明からは省きます。
まず、プルトニウムが入った場合の燃料の融点についてですが、このグラフが融点の測定結果が示してありまして、横軸がプルトニウムの割合で、縦軸が融点になっておりまして、皆さんから向かって左側の端がウラン、右側の端がプルトニウムということで、この線の交差している分で言いますと、ウランですと2,800℃ぐらい〔資料2−3:PDF88KB〕。プルトニウムですと2千4百数十℃ということで、確かに融点は低下いたします。しかし、実際に使うプルトニウムの濃度というのが10%前後ということでみますと、確かに融点は低下するんですが、融点の低下は数10℃程度と、100℃までは下がらないということで、安全性には問題なかろうというふうに後で申し上げます。
それから、熱伝導率についても確かにこのグラフも同じなんですが、確かに下がります〔資料2−4:PDF91KB〕。ただし、10%程度プルトニウムが入った場合の熱伝導率の低下も、やはり10%程度。ここで注意していただきたいのは、ここには線がいっぱい書いてあります。これは、温度が違うと熱伝導率が変わるんですね。燃料の、プルトニウムの組成というよりも、温度の方でより大きく熱伝導度が変わります。従いまして、プルトニウム濃度よりも温度、つまり運転条件の方が影響するということになります。これらをまとめまして、じゃあ安全なのか、あるいは燃料は溶けないのかということについて言います〔資料2−5:PDF108KB〕。最も厳しい条件の評価で燃焼度が1,200MWd/tと燃焼初期になりますが、そこで見ていきます。ウランペレットでは融点が約2,800℃ですが、実際MOXになりますと、これが70℃程下がりまして2,720℃に融点は下がります。ですが、実際の運転条件は、定格の場合ウランの方では1,830℃。それから、MOXでは1,820℃ということで、900℃程の余裕がございます。もし途中異常時があった場合ということで、燃料の温度が上がった場合ですが、この評価ではウラン炉心の場合2,200℃。MOX炉心の場合で2,250℃ということで、やはりここでも500℃近くの裕度を持っているというかたちで運転されますので、中心部が溶融するということは通常時あるいは想定されている異常時においてもないということを確認されております。
【中村コーディネータ】
そろそろ一旦おまとめ下さい。
【九州大学大学院 出光教授】
後は、圧力の方ですけども、燃料ペレットからの圧力については、解析をした結果、十分に燃料は壊れないということが確認されております〔資料2−6:PDF106KB〕。それから、プルトニウムスポットについても、製造時に400ミクロン以下のものについては問題ないというふうにされております〔資料2−7:PDF85KB〕。定常時についてもスポット内の温度上昇が数℃程度、それから、初期に消滅してしまうということがあります。異常時についても、後ほど時間があればご説明いたしますが、スポットが存在した条件でも壊れないということが分かっております。実績ですが、今までに約5,000体弱の集合体が世界で使われておりまして、これは、玄海3号炉でいきますと数十年分の実績ということになります〔資料2−8:PDF114KB〕。燃焼度、それから装荷率等についてもお配りしました資料に載せておりますが、高い燃焼度、それから、30%以上の装荷率、そういったものもございます〔資料2−9:PDF90KB〕。特に、プルトニウムを使うにあたってウラン燃料等大きく異なることはありません。それと、積極的に使用することによってエネルギー資源を有効に利用することが出来ます〔資料2−10:PDF97KB〕。ということで、終わりにしたいと思います。
【中村コーディネータ】
後ほどまたご発言の機会はございます。では続いて大橋さんどうぞ。
【東京大学大学院 大橋教授】
東京大学の大橋です。私も出光先生と同じように大学で教育と研究にあたっているんですけど、また一方でこういう安全審査に関して意見を述べさせていただいたりすることもやっております。今日はこうやってお話する機会を与えていただいて大変ありがとうございました。何をお話ししようかと今まで佐賀県で行われたその安全性に関する質疑応答をずっと勉強してきたんですけれども、実は正直申し上げて何でこんな事をやっているんだというくらい意味の無い、もう検討しちゃったことを何回も聞かれて、今、出光さんがお話されたような内容の話を何度となく回答しているというようなことですので、今日は我々がこういう問題をどういうふうに考えるかという考え方のところですとか、県から、事故時の影響について話せというのがありましたんで、それについてまとめてまいりました。
原子力安全、ちょっと早口で申し上げます、申し訳ありません〔資料3−1:PDF123KB〕。我々の現代社会にはこういう色んな問題が出てきてます。原子力発電ですとか、遺伝子操作、伝染性の疾患ですとか地球環境問題です。こういう問題は極めて技術の果たす役割が大きくて、どうしても感情に動かされるとかっていうふうに社会の意見が決まっていくところが非常に危ない所で、原子力安全の問題はこういう問題の代表ですけれども、安全がどう確保されているのか、技術的にどういう根拠でどう判断したのかということが問題となるべきです。それに対しまして、流される情報の多くが、これはマスメディアも含めてですけれども、過度に情緒的なアプローチで、怖い・恐ろしいだとか、管理社会になるんじゃないかとか、又は原爆と同じとか、今日のテーマでもありますけどテロが起こるんじゃないかとか、そういうイメージがたくさん流されてます。こういう現代社会を取り巻く科学技術の問題というのは科学技術をベースにした客観的な判断をする、これが一番の基本で、県はそういうことでこういう会を開いていただいてるんですけど、こういうのに基づいて、社会的・経済的・環境的に意思決定をしていくというのが民主主義社会の基本になります。安全確保の考え方です〔資料3−2:PDF103KB〕。安全確保の視点は安定に運転出来るかどうか。何か起きた時に安全に停止出来るか。万一の事故時に放射能影響を防げるか。こういう問題です。安全設計・安全評価はどうやっているかというと、考えられる最も厳しい条件で評価をします。安全余裕を見込む、その中で系統の一部が機能しないようなことを保守的に仮定をします。これを逆手に取ればこういうことが起こるんじゃなかというような議論にどんどん入っていってるわけです。何を検討するかというと、核反応に関する特性、あと、熱水力に関する特性、構造的にもつかどうかという特性を検討します〔資料3−3:PDF82KB〕。これに関連しまして、考える原子炉の状態は停止時であるとか通常運転時、過渡変化時、事故時を扱います。プルサーマルにつきましては、燃料をプルトニウム入り燃料に変えるだけですので、今ご説明したうちの核的特性が変化するだけです。その核的な特性が変化させた時の設計解析評価をやりまして、丁度出光先生がご説明いただいたような一定条件下、MOXの装荷割合とか燃焼の条件下では現行と同等の特性を設計することが可能だという結論になっております。従いまして、原子炉特性に基本的な変更はありませんし、安全性が現行の軽水炉と変わることはありません。隣に安全余裕の図を書いておりますけれども、なんとなく安全余裕が減るんじゃないかというような議論がされているんです。そうではありません。安全上の制限値がありまして、運転上の制限値があって、運転範囲はこういうところでやっています。ここを安全余裕と呼んでいまして、ここの運転範囲というのは原子炉の状態ですとか燃料の設計とか又は運用の仕方によって変わりうる範囲ですので、安全余裕は全く同じです。こういうことの判断の根拠は解析ですとか実績、実験、学術的知見、経験に基づいて総合的な特性を判断します〔資料3−4:PDF103KB〕。
プルサーマルの基本問題に戻ってみますと、核的特性を正しく予想できるかどうか。その核的特性を予測したものから安全評価の入力を作りまして、運転停止特性ですとか、過渡変化だとか、事故の時どうなるかという検討をします。核的特性につきましては、これまで軽水炉、プルサーマル、高速炉、実験炉、新型転換炉などで多様な条件の経験と実績を持っています。それと、核データベースの整備、解析手法の改良、計算機性能の向上とあいまって、基本的に100%の確率で正しく予測できるという技術は確立しています。これに、プルサーマルに関しては臨界実験ですとか、今ご紹介いただいたような装荷割合、原子力出力、燃焼度、プルトニウム含有率についての実績をベースに判断をしています。
事故の影響範囲については技術的に想定しうる最大の放射能漏洩を仮定してMOXを装荷した時に、よう素が1%弱増えますけれども、希ガスは5%強減るという結果になっておりまして、現行と同等の結果です〔資料3−5:PDF104KB〕。これに対して、距離が2倍に、距離が増えて面積が4倍になるというのがあります。これの原因が、原因というか出所がよく分からずにまずインターネットで調べたんですけれど、どうやらどなたのオリジナルか分からないんですけど、原子力資料情報室のホームページに解析が貼ってありまして、その解析の内容というのがちょっと言葉は過激ですけどもむちゃくちゃです。ラスムッセン報告の特別なシナリオを持ってきて、30年前のですね。プルトニウムとか他の元素がチェルノブイリより更に放出されるという想定をしています。これは、捏造ともいえる解析で技術的には発生しないシナリオです。確率的な議論を決定論的に置き換えているとか、軽水炉ではチェルノブイリのようなことは起きるわけがないので、それを意図的に想定して怖いですよ、怖いですよという恐怖の垂れ流しをやっているような評価結果です。プルサーマルの安全性のまとめですけれども、プルサーマルは今ご紹介したように、現行の軽水炉と全く同じ安全性と信頼性を持っています〔資料3−6:PDF78KB〕。安全余裕を食いつぶすとか、事故の影響が2倍4倍になるというようなことは全くありません。ここで是非申し上げておきたいのは、玄海町だとか佐賀県の地元の方々が不安を感じる必要は全くありません。技術的に不誠実なのは誰でしょうか。技術的に全く根拠が無い話です。学会では全然発表なんかされたことがありません。都合の良いデータを使って都合の良い解釈をする。関係の無い話を持ち出されます。チェルノブイリなんか、軽水炉と全然関係が無いという結論が専門家の間で決まっているのに、チェルノブイリがどうだとか、今日も先ほどの資料で拝見したんですけど、地震の話が出されると思います。今日、我々はプルサーマルの安全性、つまり玄海3号炉のウラン燃料の変わりにMOX燃料を入れた時に安全性が確保されるかどうかという議論に来ているのに、地震なんか全然別の話題ですけど、それも怖いですよ怖いですよと恐怖心をあおるような話になってると思います。
以上です。ありがとうございました。
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